74HCU04で作るFMワイヤレスマイク〜47×72mmの基板での配線
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ロジックICの74HCU04を一部アナログ的に使ったりして、FMワイヤレスマイクの回路を組みます。
マイクで拾った音を電波で飛ばして、離れたところのFMラジオ(お手持ちのものをご使用ください)で受信します。
AMラジオでは聞けません。
不要輻射が多いなど少し問題のある回路ですが、調整箇所がありませんので
FMワイヤレスマイク始めての方にオススメです。
※ご理解ください※
この回路は、とにかく最小の部品再安のコストで、かつ調整無しで動作するように考えました。
その代わり以下のような妥協点があります。決して性能(音質、電波の品質、電波の到達距離など)は期待しないでください。
下記妥協点の改善方法につきましてお問い合わせいただきましても、お答えできません。悪しからずご了承ください。
妥協点1:音質は良くありません。かなり硬い音ですし、大きな音がマイクに入ると割れた音になってしまいます。
妥協点2:電波の品質は多分「最悪」です。約4MHz間隔で発生する不要輻射(スプリアス)をFMラジオで受信します。
短波帯からFM帯のはるか上の周波数まで約4MHzおきに電波が出てしまいます。
妥協点3:電波の到達距離は10m程度です。妥協点2のように余計な電波も出まくる回路なので
到達距離をのばすために出力を大きくすると、近くの無線局を妨害してしまうなどの問題が生じてしまいます。
妥協点4:周波数の調整は出来ません。(セラミック振動子を違う周波数のものに変更すれば可)
妥協点5:ステレオにはなりません。モノラル専用です。外部入力もありません。
●回路図
マイクからの音声信号を74HCU04のNOTゲート2つをアナログ的に使用して増幅します。
(マイク→ICの1〜4ピン)
ICのNOTゲートの一つはセラミック振動子を使用した発振回路として使用します。
この発振回路の発振周波数は、もちろん振動子によって決まります。
が、振動子にはコンデンサ(220pF)を通じてPNPトランジスタのベース−エミッタを接続していますので
この部分の静電容量によっても多少変化します。
この回路ではトランジスタのベース−エミッタは、加わる電圧によって静電容量が変化する一種のコンデンサとして使用しています。
(このような用途ならば「可変容量ダイオード」を使用するのが本筋ではありますが・・・)
マイクからの信号を増幅した出力(ICの4ピンからの信号)を、トランジスタのベースに加えます。
すると音声信号によってベース−エミッタ間の電圧が変化→この部分の静電容量が変化
→セラミック振動子を使用した発振回路の発振周波数も変化する事となり、
音声信号によって高周波の周波数を変化させるFM変調回路とする事ができます。
ここでの回路では発振周波数を4MHzとしていますが、出力される信号は「方形波」のため
沢山の高調波成分(4MHzの2倍、3倍・・・7倍・・・・何十倍!)を含んでいます。
このFM変調された方形波を74HCU04の残りのNOTゲートで波形を整え(より鋭い方形波とする)
2個並列にしたNOTゲートで出力電力を稼ぎます。
高調波成分は10pFのコンデンサを通してアンテナから送信します。
この4MHZ毎に並ぶ高調波成分のうちFM放送帯にあるものをFMラジオで受信します。
ですから、ラジオのチューニングダイヤルを回すと、何箇所かでこの回路からの電波が受信できます。
この回路には同調回路がありませんので、多くのワイヤレスマイクで必須の
「コイル(あるいはトリマコンデンサ)の調整」作業は不要です。その代わり、周波数の調整はできません。
●部品配置
※部品面(部品を取り付ける面=銅箔が付いていない方の面)から見た図です。
アンテナ線には、80cm位の細めのビニール被覆線を使用します。
●使用する部品について
この回路に使用する部品は以下の通りです。
○IC 74HCU04 ・・・ 1個
○ICソケット 14Pin DipIC用 ・・・ 1個
○トランジスタ 2SA1296 ・・・ 1個 →単品でのご購入希望の方は価格などメールにて。
○エレクトレットコンデンサマイク ・・・ 1個 (2線式 HOT側とCOLD側の見分けはこちらの写真)
○セラミック振動子 4MHz 3Pinタイプ ・・・ 1個
○1/8W炭素皮膜抵抗 (1/6Wまたは1/4W小型タイプの場合あり)→単品でのご購入希望の方は価格などメールにて。
1kΩ ・・・ 1個 (色帯は茶黒赤金)
2.2kΩ ・・・ 1個 (色帯は赤赤赤金)
47kΩ ・・・ 2個 (色帯は黄紫橙金)
100kΩ ・・・ 1個 (色帯は茶黒黄金)
1MΩ ・・・ 1個 (色帯は茶黒緑金)
○電解コンデンサ 16V10μF ・・・ 1個 (容量は数倍違っていてもOK)
○積層セラミックコンデンサ 0.1μF ・・・ 4個 (表示は104)
220pF ・・・ 1個 (表示は221 円盤型のセラミックコンデンサでもOK)
○セラミックコンデンサ 100pF ・・・ 1個 (表示は101)
10pF ・・・ 1個 (表示は10)
○ユニバーサル基板 ・・・ 1枚 (47×72mmの物)
○単四電池2本用電池ボックス ・・・ 1個 (リード線付きのもの)
○スズメッキ線 0.4φ ・・・ 50cm位
○ビニール被覆線 ・・・ 80cm位
※その他、ハンダ(電子工作用のヤニ入りハンダ、0.8mmか1mmのもの)と単四乾電池2本が必要
●工作について
キットや雑誌付録などの「専用基板」による工作では、基板の所定の位置に部品を挿し込んでハンダ付けすれば
基板上に予め作られた銅箔のパターンで配線もされてしまいますが、
ユニバーサル基板では部品間の配線も行わなければなりません。
その分、自由度の高い工作ができますので、専用基板での工作の次のステップとして、是非試してみてください。
部品を基板の銅箔の無い側から挿し込んで、銅箔側でランド(基板に付いている丸い金属)にハンダ付けして、
スズメッキ線を使用して各部品の間を配線します。
極性がある部品は、向きを間違えてしまうと動作しませんし、最悪壊れてしまいます。
この回路ではマイク、IC、トランジスタ、電解コンデンサには極性があります。
間違えて取り付けてしまうと外すのもヤッカイです。注意深く作業してください。
セラミック振動子はどちらの向きでもOKです。
配線が少し込み入っていますので、慎重に配線作業を進めてください。
●動作の確認
ハンダ付けかが終わったら、即電池を入れて・・・と突っ走らずに、まずは少し休息を入れてください。
電源を入れる前に、必ずハンダ付けの不良や部品の付け間違い、向きの間違いなどが無いか?
よ〜〜〜く確認してください。
OKでしたら、新しい乾電池を電池ボックスに入れてください。
テスターがあれば、回路に流れる電流をチェックしてください。およそ8mA程度ならばOKです。
倍以上も異なるようでしたら、もう一度各部を確認してください。
FM放送を受信できるラジオを用意してください。
できればデジタルチューニングではなく、昔ながらのダイヤル選局のほうが良いです。
また、地デジ化以前の、TVのVHF1〜3チャンネルの音声も受信可能なラジオならベストです。
マイクの前に何かしらの音源(例えばAMラジオ)を置いて、
3m位離れたたところでFMラジオの受信周波数を調整してみてください。
回路が正しく動作していれば、いくつかの周波数でワイヤレスマイクからの音が受信できるはずです。
もし何も受信できない場合、もう一度工作を見直し、電池もチェックしてから
FMラジオのボリュームを大きめにして、ワイヤレスマイクの近くでラジオの周波数を調整してみたください。
正しく動作していれば、キーン!とハウリングを起こすはずです。
FM放送帯からVHFTV1〜3チャンネルの間の数箇所で、マイクからの電波を受信できますので
近接する周波数に放送局が無いところを使用して、楽しんでください。
VHFTV1〜3チャンネルの音声が受信できるラジオであれば、現在はその周波数はTVで使用していませんので
その部分でワイヤレスマイクからの電波を受信すると、放送局とはかぶりませんので良いです。
●到達距離の延長や同調回路の追加などについて
電波の到達距離を伸ばしたいときには、10pFを少し大きな値に変更してみてください。
ただし、この回路のままでは約4MHzおきに不要な電波が「タレ流し」ですから、あまり強い電波を出してしまうと
周囲に迷惑をかけたり、損害を生じてしまうこともありえます。
「部屋を2つくらい挟んでもなんとか到達する程度」にとどめてください。
10pFの先に、同調回路付きの簡単な高周波増幅回路を設ければ、不要輻射を減らす事ができます。
具体的な回路は、雑誌やネット上でのワイヤレスマイクの製作記事などをご参照の上
お客様にて工夫してみてください。当店にお問い合わせいただきましても、お答えできません。悪しからずご了承ください。
●部品のセット販売について
今回使用した部品一式(乾電池、ハンダを除く)をセットにてご用意しております。
価格は1セット 400円、送料は別途160円です。(複数セットご注文いただいた場合でも160円)
「74HCU04使用FMワイヤレスマイク 部品セット」としてご注文いただければ幸いです。
ご希望の方はお名前、お届け先ご住所、ご注文の商品名と数量を明記して、メール(ecw@sweet.ocn.ne.jp)にてご注文ください。
お支払の方法などは、こちらをご参照ください。