LED点滅用IC M34シリーズ その1
M34シリーズってどんなIC?
M34シリーズは、もっぱらLEDを点滅する用途向けに作られたICで(多分)、
おなじみの2SC1815などと同じ大きさの3本ピンのパッケージに納められています。
(写真1 M34シリーズの外観)
写真はM34シリーズの中の「M34−2L」のものです。詳しくは後ほど説明します。
この中に、点滅の周期や、1周期の中の点灯している時間と点灯している時間を決めるための回路と、
LEDに流れる電流をON/OFFするための「スイッチ」に相当する部品が作りこまれています。
(図1 M34シリーズの中身)
たま〜に、点滅周期やLEDの点灯する比率を変更してくれ!といわれる事がありますが、
このようなICの場合、最初からICの中に全てが作りこまれていますので、変更はできません。
1回に何万何十万個(あるいはそれ以上)の注文を出せて、それなりに信用がある会社の依頼ならば、
ICメーカーも断らないとは思いますが。
また、点滅周期などは厳密に調整されているものではありません。あくまで簡単に最小の部品でLEDを点滅するためのICです。
点滅周期(IC内部のスイッチがON/OFFする周期)によって、幾つかの種類があり、”M34−”の後の数字(とアルファベット)が異なります。
市場で見かけるのは
・M34−1L (1秒周期)
・M34−2L (1/2秒周期)
・M34−8L (1/8秒周期)
の3種類で、当店で扱っているのも上記のものです。
メーカーの仕様書では1/4秒周期のタイプもあるようなのですが、他店様でも見かけたことはありませんし
当店でも扱っていません。(1/4秒周期が欲しい!方、ごめんなさい。)
1周期の中でLEDが点灯/消灯している割合(Duty比)は以下のようになっています。(点灯:消灯)
・M34−1L ・・・ 1:8
・M34−2L ・・・ 1:8
・M34−8L ・・・ 1:1
つまり、M34−1Lと2Lは、1周期中ちょっとだけLEDが点灯する光り方、M34−8Lは点灯と消灯の割合が同じ位の光り方になります。
電源電圧の範囲は1.35V〜5Vと仕様書の上では規定されています。なので標準的な使用方法では乾電池2本が基本です。)
実際には低いほうは1V位から動作するようで、回路を工夫すると電池1本(1〜1.5V)でLEDを点滅することもできます。
ただし点滅周期がすこし早くなるなどするようです。
もちろん、1.35V以下で動作しなかったとしても、それでクレームを入れるのは「私は大ばか者で〜す!」と叫ぶようなもので
規定されている条件以外での動作は、全くの自己責任となります。念のため。
高いほうの電圧は5Vまでなので、NiMH電池で使う場合でも3直列までにしたほうが無難です。
さて、スイッチ部分にどの位の電流が流せるか?ですが、こちらは仕様書では「25mA以上」となっています。
たまに25mA以上いくらでも流せると、都合の良い勘違いをする方がいらっしゃるのですが、そんな事はもちろんありません。
最低でも25mA流せますよと言うだけの意味なので、それ以上いくらでもの拡大解釈はしないように!
実際に試してみると、赤色LEDをつないで電源3Vの条件で50mA位流れるようですが
1個試してみただけの事ですから、沢山のICをチェックしてみれば25mA程の物もあれば、50mA以上流れる物もあるかもしれません。
IC自体の消費電流はとても少なくて、私が確認してみたところ0.1mA以下でした。
LEDへの電流をうんと絞れば、乾電池でも長い期間の連続動作も可能ですね。
M34シリーズのデータシートはこちら(英文です)
M34シリーズを使った基本的なLED点滅回路
データシートをみると、このICの3本の足には「Vdd」「LED」「Vss」の”役目”があることが判ると思います。
(図2 M34シリーズのピン配置)
「LED」端子は、もちろんLEDを接続するための端子です。
「Vdd」には電源の+側を、「Vss」には電源の−側を接続します。
LEDにはアノードとカソードの2つの極があって、アノード側が+、カソード側が−でないと電流は流れません。
ICのLED端子は、ICの内部でVss端子(電源−側)との間でON/OFFされるスイッチにつながっていますので、
ICのLED端子には、LEDのカソードを接続して、LEDのアノードは電源+側につなげば良さそうですね。
が、このままではLEDに電流が流れすぎでしまうかもしれませんので、「抵抗」と言う部品を使って電流を制限します。
文字で表すとヤヤコシイので、図に描くと下のようになります。
(図3 M34シリーズを使った簡単なLED点滅回路)
余談ですが、お電話でのお問い合わせで「回路を教えて欲しい」と言われる事も多々あるのですが、
上の説明文を見ていただければ、ちょっとした回路でも言葉だけで表現し、それを理解していただくのはムリだと解るでしょう。
回路図で書いても、慣れないと何がなんだかサッパリ解らないかもしれませんね。
実際の部品を絵で表すと、下のような感じになります。(美術は”2”でしたので、絵のクオリティーはご勘弁を)
(図4 実体図)
ここで、使用するLEDは赤や黄など2V程度で点灯できるものを選びます。
上の回路では電源が3Vなので白や青など定格電流を流すのに3V以上必要なものは、十分には光りません。
(うっすらとならば光ると思いますが)
どうしても白や青のLEDを使いたい場合、電池を3本にしてください。
抵抗は、LEDへの電流が低格値を超えないように適宜決めますが、100Ωで大抵はOKだと思います。
電池の「持ち」を長くしたいのでしたら、消費電流を少なくするために470Ωとか1kΩ、あるいはもっと大きな値にします。
世の中にはよほどの潔癖症なのか、例えば定格が20mAのLEDならば20mAキッチリでなければならないと言う人が見られますが
人の目ではおそらく10mAでも20mAでも、さほど変わらないはずです。
抵抗には抵抗値に加えてW数もいろいろあって、さらに炭素皮膜とか金属皮膜とかセメントとか沢山の種類がありますが
ここでは一番安い「炭素皮膜型」の1/4W 100Ωを使用します。(1/8W型や1/6W型でも良いです)
金属皮膜型とか電力用の大きな抵抗器でも問題なく動作しますが、値段が高くなってしまいます。
LEDと抵抗の位置関係は逆でもかまいません。つまり、図では電池+→LEDアノード→LEDカソード→抵抗→ICのLED端子ですが
電池+→抵抗→LEDアノード→LEDカソード→ICのLED端子でもOKです。
さて、実際の部品を使って回路を作ってみると、下の写真のようになります。
(写真2 M34基本回路)
あまりに部品点数が少ないので、部品を固定する基板やラグ板は使用せず、部品同士を直接はんだ付けしてしまいました。
動作はこちらのビデオファイル(wmv形式、約280kB)の様になります。ここでは1秒間隔で点滅するM34−1Lを使用しました。
デジカメ手持ちで撮影しましたので(って手抜きかな?)ユラユラとぶれているのはご容赦ください。
LEDが部品箱の中で10年くらい眠っていた古いものなのと、電池が使いかけの古いものでしたので、
LEDの横からの撮影ということもあって、ちょっと暗く写ってしまいました。
(ちょっとした応用回路へ)
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