ウルトラマンのカラータイマーのようなLED点滅回路
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ウルトラマンのカラータイマーのように、一定時間後に色が変わり、さらに時間が経過すると消灯するようなLED点滅回路を考えてみます。






まずは仕様とかいろいろと考えてみましょう。


○回路の動作は?
 電源を接続すると青LEDが点滅 → 1〜2分後赤LEDに切り替え → 3分位で消灯
 消灯後押しボタンスイッチを押すと、上の動作を再び行う
 とします。



○回路の構成は?
 ・青LEDを使用するため、電源はどうしても3VではNGです。ここでは安易に006P電池(9V)を使うことにします。
 ・可能な限り、「定番」部品を使い、かつ部品数は少なくして、配線も簡単に作りたいですね。
  その代わり、回路的にちょっと強引な事もOKとしてしまいます。
 ・部品数だけでなく、部品の種類も少なくしたいですね。そうすれば部品集めも楽になります。
 ・マイコンを使えば、回路はシンプル、部品数も少なくてすみますが、ここでは(ここでも?)マイコンは使わず回路を組みます。
 ・回路に流れる電流は、もちろん少ないほうが良いですね。




○さて、回路を考えてみる
そんなこんなを考えつつ、回路を考えるわけですが、まずはLEDが点滅しなければ始まりません。
そこで、とりあえず青と赤のLEDを点滅する回路です。
一気に考えようとするとワケがわからなくなりますので、面倒でも順を追って少しずつ考えます。
「素人なので判らない」とおっしゃる方は、
いろいろなこと全てを盛り込んで一気に考えようとしてしまうケースがものすごく多いように見受けられます。
C−MOSタイプの”555”を使った発振回路です。LEDに電流を流すためにワザワザ2個のトランジスタを使っていますが
これはこの後の切り替え回路のためです。

(ファイルを変換する時の影響なのか、トランジスタのベースと抵抗の間が少し切れていますが、ここはもちろんつながっています)

点滅の周期は上の回路定数でおおよそ1秒間隔です。
点滅周期は2、6ピンに接続している抵抗とコンデンサの積に比例しますので、短くしたい場合抵抗かコンデンサを小さく
長くしたい場合は逆に大きくします。
ただし、抵抗を小さくしすぎたり(1kΩ以下)、コンデンサを大きくしすぎたり(数百μF以上)すると動作がヘンになりますので
長くしたい場合抵抗で調整、短くしたい場合コンデンサで大まかに決めて、後は抵抗を調整すると良いと思います。
とこうやって説明しても「素人なので判らないので○×秒間隔での値を教えて!」と言われることが多々あります。
お願いですから素人なので・・・と思考停止しないで、ご自身で考えたり実際に組み立てて実験したりして値を求めてください。
素人なので・・・との安易な質問は、このような説明の労力を全て否定された気がして、とても不快です。




このままでは、赤と青のLEDが点滅し続ける回路にしかなりませんので、まずは青のLEDを消灯させる方法を考えます。
LED消灯・・・つまりLEDへの電流をカットしてしまえばよいので、LEDをON/OFFしているトランジスタを
OFFしたままにしてしまえば良い!でしょ?
ここではトランジスタのベースを電源−側に「落として」しまいます。違う言い方をすれば、”L”レベルにします。
1〜2分後に青を消灯させるのですから、点滅動作のために使ったC−MOSタイプの555をタイマーとして使えば良さそうです。
555をタイマーとして使った場合、一定時間後に出力が”H”→”L”になりますので、
555の出力を青LEDにつながるトランジスタのベースにつなげれば良さそうです。
ところが・・・このままでは赤LEDは点滅したままですから、ちょっと塩梅がよくありません。青が点滅している時には赤は消灯していてほしいです。
ですから、タイマー動作の555の出力をトランジスタで「ひっくり返して」青が点滅している時には赤側のトランジスタのベースを
トランジスタを介して”L”になるようにします。
タイマーが働いて青が消灯すると、それまで消灯していた赤側のトランジスタが働けるようになって、赤が点滅するようになります。
と・・・考えつつ回路を書くと、下の図のようになります。
青側のトランジスタのエミッタにダイオードが入っていますが、これがないとトランジスタがびみょ〜にONになってしまい
青を消灯したいときでも微かに点滅してしまいます。
こんなところにダイオードを入れるなんて、絶対にイヤだ!許せない!そんな人は555側のダイオードに
ショットキーダイオード(11EQS04とかD1NS4とか1N5819とか)を使用してください。
でも、ショットキー一つより、小さなシリコンダイオード2つの方が安いでしょ?
電源を入れると、IC2のタイマーが働き始め、最初は青だけ、次に赤だけの点滅となります。
タクトスイッチを押すと、IC2は再びトリガーされて青点滅→赤点滅となります。
青から赤に切換わるタイミングは、半固定抵抗で調整できます。この回路ではおおよそ50秒〜3分弱です。
この時間を変更するにはIC2の6、7ピンに接続しているコンデンサと抵抗(半固定抵抗と固定抵抗)の値を変更してください。
点滅周期と同様、抵抗とコンデンサの積に比例しますが、残念ながら555では10分位までが実用範囲です。




さて、最後に青赤の2つとも消灯させたいわけですが、青を消灯させたのと同じ方法で、もう一度赤を消せば良いといえば良いのですが
それでは点滅動作をしている最初の555はず〜と動きっぱなしです。
555の点滅回路では4番ピンを”H”にすると動作して、”L”にすると動作は停止するので、
ここではもう一つのタイマー回路を設けて、時間が来たら点滅動作自体を停止するようにしてみます。
で、最終的な回路は下のようになりました。
555の5番ピンは、誤動作防止のため1000pF〜0.01μF位のコンデンサを電源−側の間に接続するのが普通なんですが
ブレッドボードでいい加減な配線をしても誤動作しないようなので、省略してしまいました。(えっ?いつも省略しているだろうって?)
気になる方は定石通りコンデンサを入れてください。
電源を入れるとまずは青が点滅し、一定時間後に赤に切換わり、その後青赤ともに消灯します。
タクトスイッチを押すと再び同じ動作をします。
消灯するタイミングは、この定数でおよそ2分弱〜4分弱に調節できます。



○製作
小型(47×72mm)の万能基板に組んでみました。
LEDは青緑赤の3色入りのものを使用しましたが、別々のパッケージになっているものでもかまいません。

←上から見たピン配置 今回使ったLEDは「アノードコモン」



実体図や裏面の写真は用意しませんので、写真の部品の配置や回路図を追って、少しずつ組み立ててみてください。
組み立ての際には、まずはIC1回りの「点滅回路部分」を組み立てて動作を確認し(IC1の4ピンは電源+側に接続しておくこと)
その後IC2の部分を追加して、青→赤に切換わることを確認し、
最後にIC3回りを追加して(IC1の4ピンもIC3に接続して)、最終的な動作を確認すると良いです。
この様に書くと「メンドクセエ!!!!!!!」と思う人も多いらしいのですが、回路を考えこのページを書いている私自身が
それまでブレッドボードなどでさんざんいじった後にもかかわらず、
基板に組むときにはIC1つ追加する毎に動作を確認しながら工作しています。
面倒な事を楽しむのが工作という趣味なのですから、面倒な事を否定する人は、お願いですから、本当に本当にお願いですから
工作なんていう趣味を持とうとはせずに、一生を過ごしてください。



○部品一覧
使用した部品をまとめると、下のようになります。回路は一見複雑ですが、そろえなければならない種類は意外と少ないでしょう?

・タイマーIC LMC555              3個 ICM7555やTLC555でも可
・角型フルカラーLED(アノードコモン)     1個
・トランジスタ 2SC1815            3個 (小信号用のNPNなら何でも良い)
・ダイオード 1S2076A             2個(小信号用シリコンダイオードなら何でも良い)
・電解コンデンサ 25V100μF         4個(16V以上なら良い)
・積層セラミックコンデンサ 50V0.1μF   4個
・半固定抵抗 1MΩ               2個
・1/6W炭素皮膜抵抗 1kΩ         2個(抵抗は1/8Wでも1/4Wでも良い。ただし1/4Wでは縦にして基板に取り付け)
               10kΩ        3個
               100kΩ       2個
               470kΩ       1個
               1MΩ         1個
・タクトスイッチ                   1個
・ICソケット 8Pin DipIC用          3個
・万能基板 47×72mm            1個
・006P電池用電池スナップ           1個
・ビニールひふく線 スズメッキ線        少々


上記部品一式、部品セットとしても販売いたします。
「カラータイマー風LED点滅回路 部品セット」として、メールにてご注文いただければ幸いです。
価格は1セット1000円、送料は160円です。
※半固定抵抗は、写真の物ではなく角型のタイプ(写真のものより少しだけ上級の物)とさせていただく場合があります。
※部品在庫の都合などで回路定数を一部変更とさせていただく場合がございます。
 (変更点を明記した回路図を同封いたします)  
※LMC555が入手困難となってしまいましたので、セットではICM7555に変更させていただきます。
 回路図はLMC555のままですが、ピン配置は同じですから、そのまま置き換えて組み立ててください。
ビニールひふく線とスズメッキ線(0.4φ)は、1m位ずつ同封いたしますが、ビニールひふく線は写真とは違う色となるかもしれません。
色のご指定はできませんので、ご了承の上ご注文ください。


○その他雑記
※ウルトラマンのカラータイマーなら青は点滅じゃなくて点灯じゃね?とのお声もあるでしょう。
 青(または赤)を点滅ではなくて点灯にしたい場合、青側のトランジスタのベースに接続している抵抗を555から切り離して
 ICの3ピンではなく電源+側に接続すれば良いでしょう。(安易に過ぎますか?)



※LEDを電球っぽく、柔らかく点滅させたい場合、トランジスタのベース−エミッタ間に電解コンデンサ(10〜47μF)を入れてみてください。


※せっかくフルカラーLEDを使うのですから、3色を混ぜて発光させればお望みの色となりますね。
青や赤だけでは物足りない方は、どうすればよいか?考えて実験してみると面白いと思います。


※効果音も出したいとか、タイムアップに近づくに従って点滅が早くなるようにしたいとか、暗くなったら動作するようにしたいとか
 いろいろと要求はあるかもしれませんが、ここで紹介した以上の回路にはしません。ご自身で、いろいろと工夫してくださいね。
 お問い合わせいただいてもお答えいたしません。悪しからずご了承ください。
 (調べたり考えたり実験したりする前に「素人だからわからない。教えて」と言う方がとても多いです。残念でなりません)


※最初に書いたように、ここでの回路は最適なものではありません。マイコンなどを使わないにしても、もっと良い回路もできるでしょう。
 ここでの回路は、あくまでも定番の部品を使った簡単な回路で部品の種類も少なくしたい、そんな事を考えてのものです。
 必ずしも最適な回路ではありませんが、その代わり、やれNANDだORだフリップフロップだとか
 プログラムがどーしたこーしたと言った事も無しに、タイマーと点滅回路と、トランジスタの動作だけで回路を考えられると思います。
 リクツばかり考えると、すぐにワケがわからなくなってしまいますが、このページの説明のように
 とりあえず知っている回路で、実現したい回路の一部分から考えてみて、それに枝葉を付けるように広げてゆくと
 小難しいことを考えなくても、ちょっと面白い回路を実現できることもある(できないかもしれませんが)のも、電子工作の楽しさだと思います。