センサーが無いのに暗くなるとLED点滅回路
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LEDの性質とタイマーIC定番の”555”のC−MOS版の機能を上手く利用して、
センサーを使わず1つのLEDを発光素子としても光センサーとしても使って
明るいところでは消灯、暗くなると点滅する回路です。
雑誌の記事風にご紹介いたします。






LEDは読者の皆さんには説明するまでも無く、電流を流すと光る「発光素子」ですね。
でも、LEDわ光らせるのではなくて、逆に光を当てるとどうなるでしょうか?極々わずか〜な電力ですが、太陽電池と同じように発電します。
そこで、発光素子としてのLED自身が光センサーも兼ねて、一見センサーがどこにも見当たらないのに、暗くなるとLEDが点滅を始めるちょっと不思議な回路を作ってみました。

●LEDに光を当ててみる
太陽電池は半導体のPN接合に光を当てると発電します。一方でLEDはPN接合に電流を流すと光ります。ならば、PN接合部から光を出すLEDに、外から光を当ててみるとどうなるでしょうか?「逆もまた真なり」なのでしょうか?早速試してみました。机の上に転がっていた赤色のLEDを使ってテスターで確認してみたところ、1.2V程の電圧が発生することが確認できました。(写真1)電流はほとんど取れませんので、太陽電池のようなエネルギーを取り出す用途には無理がありますが、光で電圧が発生するのですから、光センサーとしてならば使えそうですね。

●暗くなるとLEDが点灯する回路
LEDを光センサーとして使用して、暗くなるとLEDが点灯する回路を考えてみます。簡単には、図1のように2SK241などのMOS−FETのゲートにセンサーとして使うLEDを接続する回路が考えられます。明るい時にはセンサー用の赤LEDに電圧が発生して、ゲート−ソース間の電位がマイナス側になるため、ドレイン電流は流れません。暗くなると赤LEDの電圧はなくなるため、ゲート電位も0になって、ドレイン電流が流れます。
でも、LEDの電流を制御するため別のLEDを使用したのでは、お世辞にもクールな回路とはいえませんね。

●センサーと発光を兼ねさせる
1つのLEDに光センサーと発光素子としての2つの働きをさせられないか?その場合の回路の動作を考えてみます。
周囲が明るい時LEDの電圧は1.2V程となりますが、暗くなるとこの電圧はほとんどゼロとなりますので、この変化を捉えてLEDに電流を流す回路とすれば良さそうです。ところが、LEDに電流を流して光らせれば、当然のことですがLEDには電圧がかかりますので、周囲の明るさを検出することが出来なくなってしまいます。そこで、タイマー回路でLEDを光らせる時間を区切り、一定周期ごとにLEDがセンサーとして働けるようにすればよさそうです。ただし、LEDは連続点灯ではなく、どうしても点滅動作となってしまいます。

●C−MOSタイプの555を使う
「タイマーで点灯時間を区切る」回路といえば、真っ先に思い浮かぶのがタイマーIC「555」ですね。555の単安定回路では、トリガー端子(2番ピン)の電圧が、電源電圧の1/3以下になるとトリガーがかかります。LEDを2番ピンに接続して、電源電圧を3Vとすれば、明るい時にLEDが発生する1.2Vから暗くなって電圧が無くなれば、ちょうど良い具合にトリガーをかけられそうです。ただし、電源が3Vでは、C−MOSタイプの555を使う必要があります。バイポーラタイプの555では電源電圧が4.5V以上必要なので、3Vの電源ではうまく動作しません。




●回路
図2が今回作成した回路です。以下のように動作します。


○明るいところではLEDが発電するので、トリガー端子が1V以上(電源電圧の1/3以上)となり、ICは動作しません。
○周囲が暗くなって、LEDが発電しなくなると、2番ピンの電圧が下がり、ICはトリガーされて一定時間だけICの3番ピンはHレベルになります。すると2SC1815と2SA1015がONとなって、LEDに電流が流れて光ります。時間が経過して、ICの出力がLとなると、LEDは消灯します。
○LEDが消灯したときに周囲が暗ければ、LEDの両端の電圧は下がり、再びICはトリガーされてLEDは光ります。再びLEDが消灯したときにも周囲が暗ければ、ICは上の動作を繰り返し、LEDは点滅動作をします。
○周囲が明るければ、LEDが消灯しても、周囲の光でLED自身が発電した電圧によりICの2番ピンの電圧が上がるため、C−MOS 555はトリガーされずLEDはそのまま消灯します。

470pFは、LEDが消灯してからら電圧が1/3電源電圧まで落ちる時間(点滅周期の中の消灯している時間)を延ばすために入れています。このコンデンサが無い場合、周囲が暗いときのLEDの電圧はよりすみやかに落ちますので、LEDはより「せわしなく」点滅します。
点滅周期の中での点灯している時間は、6、7番ピンに接続する抵抗とコンデンサにより調節できます。図の値では1/10秒弱となります。抵抗×コンデンサの値に比例しますので、例えば抵抗かコンデンサのどちらかを倍の値にすれば、LEDが点灯している時間も倍になります。

●部品について
タイマーICにはC−MOSタイプのLMC555(写真2)を使用しました。NE555などのバイポーラタイプは使用できません。
トランジスタは小信号用で、PNP(2SA1015)NPN(2SC1815)をあわせれば、どれでも使えるでしょう。
抵抗は1/4Wを使用しましたが、1/8でも使えます。値も多少異なっても大丈夫です。47ΩはLEDへの電流制限用なので、電池を長持ちさせたい場合には、LEDの明るさが許せる範囲で大きな値(例えば100Ωとか1kΩとか)に変更してください。
セラミックコンデンサは、古い物で漏れ電流が大きくなっていると回路が動作しない可能性があります。新しいものを使用してください。最初はこのコンデンサは取り付けないで組み立て動作を確認したうえで、点滅動作の中の消灯期間を少し延ばしたいと思ったら取り付けた方が、無難かもしれません。
LEDはこの回路の要です。微妙なバランス(?)で動く回路のためか、緑などのLEDでは動作しない場合があります。私が実験した範囲では、赤のLEDがもっとも無難なようですので、まずは赤色のLEDで動作することを確認してから、お好みの色に変更してみてください。今回は写真3のレンズ部分が無色透明で直径5mmのタイプを使用しました。


●製作
図3に部品配置図を、表1に使用した部品一覧を示します。部品点数はそれほど多くありませんから、工作自体は難しくないと思いますが、一か所ずつ確認しながらハンダ付けしましょう。
工作の際、ハンダは必ず「電子工作用」のものを用いて、別途フラックス(やペースト)を使う場合にも必ず「電子工作用」を用いてください。板金用のハンダを使い、板金用のフラックス(やペースト)を使用してしまうと、基板上の絶縁状態が悪くなって、回路が動作しなくなってしまいます。模型工作が得意で電子工作は初心者の方に、よく見られる失敗です。
部品によっては極性があります。間違えて取り付けてしまうと動かないばかりか、部品を壊してしまうこともありますので、確認しながら取り付けてください。図4に各部品の極性を示します。
写真4が完成した様子、写真5は基板裏の配線の様子です。





表1 部品一覧

・タイマIC         LMC555        ・・・  1個
・トランジスタ        2SC1815       ・・・  1個
   〃           2SA1015       ・・・  1個
・LED           5mm 赤         ・・・  1個
・電解コンデンサ       16V10μF       ・・・  1個
・積層セラミックコンデンサ  0.1μF         ・・・  1個
・セラミックコンデンサ    470pF         ・・・  1個
・炭素皮膜抵抗        47Ω(黄紫黒金)     ・・・  1個
   〃           10kΩ(茶黒橙金)    ・・・  2個
   〃           220kΩ(赤赤黄金)   ・・・  2個
・ICソケット        8Pin DIP IC用  ・・・  1個
・電池ボックス        単3乾電池2本用      ・・・  1個
・ユニバーサル基板      サンハヤトICB−90   ・・・  1/2枚
・乾電池           単3            ・・・  2個
・スズメッキ線        0.4φ          ・・・  約50cm











●動作の確認
電池ボックスに新しい乾電池を入れて周囲を暗くしてください。LEDがチカチカと点滅すれば無事に完成です。(写真6)センサーが無いのに暗くなるとちゃんと点滅し始めるのは、理屈をわかっていてもちょっと不思議な感覚です。もし点滅しない場合、もう一度工作に誤りが無いかを確認しましょう。工作に誤りが無いのに動作しない場合、470pFを外してみてください。

●長所と短所
この回路の長所ですが、「光の出入り口」が一つだけです。CdSなどのセンサーを使った回路では、ケースに組み込む際に、光の出口としてのLEDのための穴と、光の入り口としてセンサーのための穴を開けなければなりません。単純なハコならはさして問題にならないかもしれませんが、例えばぬいぐるみの目の中にLEDを仕込んで、暗くなったら光らせるようなギミックに応用する場合、センサーの位置を考える必要が無いのは、大きな利点でしょう。
もう一つの長所としては、自分自身で出す光での誤動作が、原理上有り得ない事が挙げられます。センサーを使った場合、LEDからの光がセンサーに当たってしまうと、暗くなって光ったはずなのに、光った瞬間センサーは明るくなった様に動作してしまい、回路は正常に動作しなくなってしまいます。センサーの位置を工夫したり、筒を被せたりして、LEDの光が当たらないようにしなければなりません。この回路では、発光素子が受光素子も兼ねていますから、そのような誤動作の心配がありません。
一方で短所ですが、LEDを「選ぶ」事が挙げられます。赤のLEDでしたら、筆者が試した限りではどれでも上手く動作するのですが、緑では動作が怪しくなる場合もありました。また、どうしても点滅動作となってしまうこと。点滅周期の中の消灯時間はLEDの電圧が555をトリガーするまで落ちる速度に左右されるので、真っ暗な時と、動作を始めるギリギリの明るさの時では大きく変化してしまいます。暗くなるほど、消灯期間は短くなります。