MOS−FETでマルチバイブレータ回路
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電子工作の定番LED点滅回路で、部品入手の観点からは一番手軽なのは、トランジスタ2石のマルチバイブレータ回路でしょう。



(勝手に転載しちゃダメだよ)

例えば上の図で、Rbは共に47kΩ、Cは共に22μF、トランジスタにはNPNの小信号汎用(例えば2SC18185)を使えば、0.5秒間隔くらいでLEDが点滅します。RcはLEDをどの位明るくしたいかと、電池の消耗を天秤に掛けて決めたりするわけですが、100Ω位でよいでしょう。
点滅の周期を変えたい場合、RbかCの値を変えれば良いのですが、ちょっと面倒くさい「縛り」もあったりして、Rbはトランジスタを飽和させられるだけのベース電流を流せなければなりません。赤とか黄色のVf=2VのLEDとして、ちょっと式に書くと
Ib×hFE > Ic
  Ib=(3−0.6)÷Rb   ・・・ 0.6はトランジスタのB−E間の電圧
  Ic=(3−2−0.2)÷Rc   ・・・ 0.2はトランジスタのC−E間の電圧

で、周期を変えようとしてRbをむやみに大きくしてしまうと、回路は動かなくなってしまいます。
バイポーラトランジスタだからベース電流に縛られるので、最近入手が楽になったMOS−FETならばどうよ?と作ってみた回路が下の回路図。


(勝手に転載しちゃダメだよ)

FETには2N7000、Cは共に1μF(積層セラミックコンデンサ)、Rgは共に1MΩ、Rdは共に1kΩ。
この回路ではゲートとソースの間のツェナーとダイオードが動作のために必要となって(これが無いとLEDが共に点灯したままになっててしまう)、ZDは共に4.3V品、ダイオードは1N4148など小信号汎用のもの。
2N7000はONにするためのゲート電圧が5V位必要なので、電源は9Vです。ツェナーもゲート電圧にあわせています。もし2.5V品とか1.8V品とかのFETで実験するならば、ツェナーの代わりにダイオード2〜3個直列でもOKです。
こんな回路で、LEDはおよそ1.2秒周期で点滅しました。コンデンサが温度とか印加電圧によって大きく容量が変化してしまうパスコン用のセキセラなので、点滅周期は「参考値」としてください。ブレッドボードにチョコッと組んでみたのが下の写真です。
LEDは緑を使いましたが、電源が9Vありますので白や青でもOKです。




回路を見ていると、ゲート−ソース間のツェナー1個省略できそうな気がしてきました。こんな回路です。



実際に組んでみたところ、特に問題なく動くようです。ツェナーは1N4148とかよりもずっと高いので、1個でも節約できるのは良いですね。
(もっと別の条件で動かすと何らかの不具合が発生するかどうか?は検証していません。悪しからず)

さて、基本的な回路で動いたので、少しいじってみます。今までは左右対称で、LEDの点灯/消灯も同じ時間で交互に繰り返すものでした。
そこで、点滅周期はそのままで、例えば左のLEDは一瞬だけ右側をその分長く、とか、逆に右側は一瞬だけとかに可変できる回路とするならば、こんな感じです。

(勝手に転載しちゃダメだよ)

あまり極端に変化させてしまうと動かなくなるようですが、VRに1MΩ、Rgは共に100kΩ、Cは1μF(セキセラ)とすると、約0.6秒周期で、左右の点灯比率を1:10位まで可変できる点滅回路となりました。
左右の点灯の比率は1:1でよいけれど、点滅周期を変化させたいならば、下の回路図のような感じです。

(勝手に転載しちゃダメだよ)

ダイオードがまた増えてしまいましたが、これも1N4148などの安価な小信号汎用でOKです。
VRに1MΩ、Rbに100kΩ、後は今までと同じで、およそ0.6秒から0.06秒位まで周期を可変できます。


FETを使うと周期を決める抵抗に大きな値が使えますので(何せ「飽和させるだけの電流を流す」と言う縛りが無い)、その分コンデンサも小さなもので済みますし、上の例のように可変させるの場合にも楽になりますね。まだまだONにするためのゲート電圧が低いFETは入手しにくいので、電源電圧が高めになってしまうのが、難かもしれませんが、遊ぶための素材としては面白いと思います。