電池のあれこれ

電子工作でよく使う乾電池やNiCd電池の一覧表です。
電池は取り出せるエネルギーが製造に必要なエネルギーの何十分の一という贅沢なエネルギー源です。上手に選んで無駄無く使いたいものです。

下の表は、幾つかの資料や実験を基に、エレ工房さくらいにて「勝手」に容量の目安を算出したものです。間違っても、下の表の値について電池のメーカーに問い合わせるような、おバカな事はしないでください。(過去、そんな事をした挙句、なんだかんだと言ってきたコマッタチャンが数名います)

種類※1 負荷電流の目安
(mA)
容量の目安
(mAh)※2
価格の目安
(円)※3
その他
単5(黒) 〜50 300 40〜70  
単5アルカリ 〜150 600 70〜150  
単4(黒) 〜100 450 50〜80 単5より細いって知ってました?
単4アルカリ 〜300 900 70〜150  
単3(赤) 〜200 700 40〜80 時計などの微小負荷に適しています。
単3(黒) 〜300 1000 50〜100 極端な重負荷(例えばミニ四駆)以外は何でもこなします
単3アルカリ 〜1000 2000 70〜150 最近お店でもっとも大量に置いてあります。値段も下がり、長持ちします。 
でも微小負荷ではちょっと不経済です。
単3NiCd 〜3000 500〜1000 250〜500 容量や最適な負荷電流、充電電流などによって何種類もあります。
モーター等の極端な重負荷とヘッドホンステレオ等の一般的な負荷で使い分けると良いかも。
単3NiMH 〜1000 1300〜2800 300〜500 熱に弱く、充電時に気をつける必要があります。充電器(特に急速充電器)を自作するときにはご注意を。
006P(黒) 〜20 300 100〜200 電子工作の必需品ですが、割高ですぐに終わってしまう・・・大電流には不向きです。
006Pアルカリ 〜50 500 200〜400 電池スペースは小さくしたいが負荷はちょっと重め、というときに。ただし高いです。
アルカリとマンガンの006Pでは中の構造が違うらしく、バラすと「単6」の細い電池が6本入っているらしいです。
※1 電池の呼び方には幾つかありますが、ここでは古くからの、どこのお店でも通用する呼び方で書き表しました。
ちなみにJISでは、単3マンガン乾電池はR6P、単3アルカリ乾電池ではLR6となります。
また、外装缶の色ですが、高性能タイプは赤、超高性能タイプは黒、アルカリは金となっているようです。
※2 乾電池の容量をこの表のように表記しているメーカーはたぶんありません。各種の資料での乾電池の公称容量は、例えば、5Ωの負荷で15分の放電を一日2回、放電終始電圧0.9Vとしたときの持続時間が3.9時間、といった表し方になります。しかし、これではわかりにくいので、このページでは当店で幾つかの資料をあたり、また実験をしてみた大まかなmAh容量を載せました。したがってここの数字はあくまでも参考値です。
電池の容量は使用状況や保存状態によって大きく変化するのは周知のことです。ここでの値より持たなかったからといって、当店やまして電池メーカーにクレームをつけたりしないでください。
また、メーカーに対して「エレ工房さくらいのHPに容量が書いてあったが、実際にはどのくらいなのか?」の様な問い合わせをしないでください。当店にとってもメーカーにとっても迷惑な事です。メーカーでは電池の容量を”mAh”で表示しないのは理由があっての事です。表示できるのならば最初からそうしています。
※3 近所の幾つかのお店での値段です。これより安いところや高いところもあるでしょう。
※古いデータなので、今はかなり安くっていると思います。


乾電池の充電について
先日、物は試しと単三アルカリ乾電池の充電実験をしてみました。
充電電流は約15mAと微弱で、半分ほど使った電池を6本一組で充電してみました。もちろん、放電時も6本一組です。
充電初期は各電池とも均等に電圧が上がり、充電されていったのですが、しばらくすると1.4V程度を示すものがある一方で1.7V以上まで上昇しているものも出てきました。そろそろ充電をやめないとまずいかな〜と思っているうちに、「ポコン」と言う音がして、一本の電池の外装缶が破れ、中からアルカリ液が漏れてきました。
ちなみにアルカリ電池の中の液は高濃度の水酸化カリウム水溶液で、皮膚などはどんどん侵されてしまう、とても危険なものです。
あわてて充電を止め、漏れた液を拭き取り、やれやれと一息ついたとき、また「ポコン」と音がして別の一本が破裂しました。恐らく充電を止めても電池内の圧が高くなったままだったのでしょう。
充電はあくまで実験として、液漏れ破裂に対してそれなりの準備をしたうえで行いましたので実害はありませんでしたが、何も考えずに充電した場合、非常に危険です。強アルカリの液による腐蝕もそうですし、電池の電解液は電気を良く通しますので100Vラインにでも付着したら火災の原因にも成り得ます。
最近の充電器は乾電池は充電できないようですが、まちがっても古いNiCd充電器などで乾電池を充電しないこと!
「1.2V以下(だったかな?)で充電すれば、充電可能だ!おまえの言う事はケシカラン!!」と言うお叱りも何度かいただきましたが
(2、3度、「充電方法を掲載しろ!オマエにはその義務がある!!」とヘンなインネンをつけられた事もあります)
私の実験では、一度充電してしまったアルカリ電池は、保存性が極端に悪くなって、充電した分なんか直ぐに自己放電してしまいました。
メーカーでは、保存性を高めるために様々な工夫をしているのですが、おそらく充電によってその工夫もダイナシになってしまうのでしょう。
充電式の電池も手軽に入手できるのに、乾電池を充電しなければならない意味が私には理解できません。
「発展途上国では充電して使わなければならないんだ!」と主張する方もいますが、
ならば、その様な国でもNiCdやNiMHが普及するような運動をされたほうが(すくなくとも乾電池の充電と平行して)よろしいかと思います。
充電式電池にはニッケルとかレアメタルとかいった、軍事的にも経済的な意味でも「戦略物質」な物も使いますので、
まずは「平和」と言うことが条件になるかと思いますが、その面でも、世界中の国でその様な物を安心して使えるようにすべきでしょう?
それでも「アルカリ電池も充電できる」事を主張し広めたいのであれば、電池メーカーに主張してください。
私に対して青筋立てたような文面で「乾電池は充電できるんだ!」と主張するのは、お門違いも甚だしいと思います。



電池の電圧チェック(2012年11月21日 追加)
たまに、「電池をテスターで測ると十分な電圧があるのに回路につけても回路が動作しない。回路の不良でしょうか?」といった
お問い合わせをいただくことがあります。
テスターなどで電池のチェックをする場合、電池の寿命が尽きていても、一見すると1.2Vとか1.3Vとかが表示されて
十分に使えそうな値が表示されてしまいます。
乾電池はほとんどのエネルギーを使い果たしても、何も接続していない時には電圧(だけ)は、そこそこ出ています。
ところが電流を流そうとすると、途端に電圧も下がってしまうのです。
テスターの電圧測定では、ほとんど電流が流れません。(特にデジタルテスター)
ですから電圧だけは元気に見える値を表示するのですが、回路に付けて電流が少しでも流れると、電圧はほとんど出なくなり
「電池の電圧はあるのに、回路が動かない!」と焦ってしまう事態となってしまいます。
電池がまだ使えるかどうか確認するには、電流もある程度流した状態で、電圧を確認する必要があります。
テスターの中には「電池チェック機能」が付いているものもありますし、
下の写真のような簡易チェッカーも100均ショップやホームセンターなどで買うことができます。
テスターを持っていれば、豆電球をつないだ状態で電圧を測ってみても良いでしょう。
(もちろん、これらの方法は簡易的にチェックするものです。正式な確認方法ではありませんので、念のため)

使い切った電池の場合、針はほとんど振れません。ちなみにこの乾電池、テスターで電圧を測ると1.3Vほどあります。



元気な乾電池や充電した充電池の場合、「パワー満タン」ゾーンまで針が振れます。




電池についての本

電池について知りたい方には、以下の本をお薦めします。
    ・・・と書いてから10年くらい経つのですが、どれも絶版となってしまったようです。
      図書館や古書店で見かけたら、是非手にとって見てください。

・電池活用ハンドブック   CQ出版社 1800円
・電池の本  CQ出版社 1900円
・電池の進化とエレクトロニクス 工業調査会 2400円
・電池の科学 講談社ブルーバックス 760円

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