ビンテージはんだ?と松ヤニ
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ヤニ入りはんだは中が中空になっていて、真ん中の部分にヤニ(フラックス)が入っていて、
これがはんだ付けの時に重要な役割を果たすんだよ・・・と説明してみても、
今のはんだは直径が0.6mmとか0.8mmの細いのも多いので、実感できないかもしれませんね。
だいたいフラックスの事をヤニと呼んだりするのも、何かヘン!と感じている人も多いのではないか?とも思います。
手元に40年位前の古いはんだがありましたので、ヤニの実例として、松ヤニそのものも含めて写真を挙げてみますね。


私が電子工作を始めた時に親父からもらった太いはんだです。リールに何が書いてあるのか今となっては読めませんが、
太さ2mmくらいあるはんだで、多分電気配線用だと思います。写真のもので300g位あります。




この位太ければ、切り口を見れば茶色の粉っぽいものが中心に入っているのがよく分かります。
これが「ヤニ入りはんだ」の「ヤニ」です。
今は多分化学合成で作るんでしょうけれど、かつては松ヤニを精製したものを使ったそうです。だから「ヤニ入りはんだ」なんですね。




ならば、本物の松ヤニもはんだ付けに使えるか?試してみたいと思いますよね?(えっ?そんなのオマエだけだって?)
都会っ子にはなじみは無いかもしれませんが、これが松の木から出て固まったまんまの松ヤニです。この塊は親指くらいの大きさです。

「ああ、松ヤニならばバイオリン弾くのにいつも使っているよ。こんな汚い塊じゃなくて、精製した缶入りのものだけれど」
なんて言われてしまうかもしれませんね。



はんだ付けの際に、はんだを流れやすくする効果があるかどうか?確かめるために、
わざと長時間こてで熱して「ヤニ」を飛ばしたはんだの塊を作ってみました。
とけたはんだの表面張力で、ころころと丸くなっています。表面が酸化してしまっているのか、コテ先もはじいてしまっています。
これでは基板やリード線にもはんだがなじまず、上手に接続することはできませんね。




ここに松ヤニを少し加えると・・・一瞬でこて先にはんだがなじむようになりました。

松ヤニがこげる時、独特のにおいがします。このにおいがちょっと懐かしく感じたのは、上のはんだを使ったときのにおいと同じだから。
言葉で表現するのは難しいのですが、今のはんだより「濃い」ヤニのにおい、といった感じでしょうか。


2012年6月14日作成