ハンダ付けの方法 動画編 その2





電子工作には「必須科目」のハンダ付けですが、なかなか思うように出来ない方も多いようです。
多くの場合、手先が不器用だからではなくて、(店主は相当の不器用です)
やり方が間違っていたり、道具が適切でなかったり、使わなくて良いものを使っていたりと
気が付いてみれば「今まで上手くできなかったのは何だったんだ?」と思うような要因の事がほとんどです。

  特に多い間違った方法が、
  まずハンダゴテの先にハンダをあてがって溶かし、それをそろ〜りそろりとハンダ付けする場所に持って行くやり方で
  この方法は、一見楽に見えますが(両手を動かす必要がありませんから)
  実は、コテ先が適切な温度だとハンダが落ちてしまいますので、温度を低くしてしまいがちですし、
  何より、ハンダの中に入っている”ヤニ(フラックス)”が全部飛んでしまって、イモハンダの原因となってしまいます。

写真や絵で説明していたのですが、それでも「さっぱりワカラン!」と怒られることもありますので
動画ファイルにしてみました。

動画は、予め基板に挿し込んである抵抗の2本のリード線を基板にハンダ付けする様子を録画しています。

ポイントは
●まずハンダゴテの電源を入れてしばらく置き、コテ先が十分に温まった状態にする
●ハンダ付けしたい部分にコテ先をあてがい、一呼吸置いてから(ハンダ付けしたい部分が暖まるように)、ハンダをあてがう
●ハンダが溶けて十分な量がランドの上に載ったら、半〜一呼吸置いて綺麗に「流す」。
と言った感じです。

使用する道具ですが、ハンダゴテは30Wの「電子工作用」として売られているもの。
セラミックヒータータイプが良いのですが、予算がなければニクロム線タイプ(マイカヒーターとして売られているかも)でも良いです。
ただし、イヤに安いものはAC電源のリークで部品を壊してしまう可能性も心配ですから、
私としてはホームセンターでも用意に入手できるgootかハッコーがお勧めです。
ハンダはビデオでは1mmのこれまた「電子工作用」です。
同じくらいの太さでも「模型工作用」として売られているものもありますが、組成が違うため電子工作には使えません。
後は映っていませんが、コテを置くためのコテ台も必要です。
ハンダゴテの温度を調節するコントローラも一応使ってはいますが、いつも「全開」にしていますので、あまり意味はありませんね。



前置きが長くなりましたが、動画ファイルはこちらをクリックして、ダウンロードしてください(wmv形式 約1.2MB)


すべての事に言えると思いますが、最初から上手に出来ることなんてありません。
ハンダ付けも、最初は思うように出来ずにイライラすることと思います。
思うように出来ないからといって、すぐに「出来ない!説明が悪い!!」とキレてしまっては、せっかく電子工作にめぐり合ったのにもったいないです。
私だって、いまだにハンダ付けの不良で作った物が動かない場合があります。
動かない場合の原因を調べるのも、電子工作の楽しみだと思うと、上達も早くなり、楽しみも広がると思います。


板金工作は経験済みで電子工作未経験の方へ
動画を見て「ペースト」は必要無いのか?と思われたかもしれません。
電子工作では、原則的に板金用ペースト使用厳禁です。「使う必要が無い」だけではなく「使ってはいけません」
電子工作に板金用のペーストを使ってしまうと、ペーストによって基板や部品が腐食されてしまい、後の故障の原因となってしまいます。
ハンダ付けをしやすくするために基板にはフラックスが塗られていますし、ハンダの中にも同様の物が入っています。
それに加えて板金用のペーストを使う必要は全くありません。
もし、ハンダ付けしたところを直す場合などで、ハンダのノリが悪いと感じられたら、
ハンダ付けする部分を目の細かい紙やすりや、カッターナイフの先で軽く磨くと良いです。
それでも不安でしたら、基板作成用のフラックス(あるいは電子工作専用のペースト)を薄く塗ると良いと思います。
言うまでもありませんが、ステンレス用やアルミハンダ用のフラックスは絶対に使ってはいけません。
アッと言う間に基板も部品も腐食されて、ボロボロの不良品となってしまいます。
板金用のハンダ付け助剤は、ハンダ付けが上手くなる魔法のアイテムでは決して無いことをご理解ください。

過熱の心配について
電子部品は熱に弱いと言う事を過剰に心配した挙句、コテ先の温度を上げられなかったり、
ハンダ付けする部分に十分な時間当てられない人もいるようですが、
ビデオファイルでの時間くらいなには、よほど特殊なもので無い限り熱で壊れることはありません。
市販品の工場では、お風呂のようなハンダの槽にジャポンと漬けたり
表面実装部品なんかはオーブンのような機械まで使って、イッキにハンダ付けしますが
その時の熱ストレスは、手作業のハンダ付けの比ではありません。手作業のハンダ付けでイチイチ壊れる部品では
市販品の大量生産にはとても耐えられません。
また、部品本体に熱が伝わらないよう「クリップ」を部品のリード線にはさんでハンダ付けする人も多いようです。
不器用な私でも、「クリップ」を使用したことは無いのですが、部品を熱で壊したことはありません。
ゲルマトランジスタ/ダイオードでも、ビデオファイルくらいの感じでハンダ付けすれば、壊れません。
それよりも、なまじクリップで熱が奪われてしまい→なかなかリード線やランドにハンダが広がらず
→イタズラにハンダゴテを当てている時間が延びてしまい→結果として部品内部の温度が過剰に上昇して壊れてしまう
なんていう悪循環のほうが心配です。(で、そんな例はいくつか見てきました)

コテ先を長持ちさせるために
ビデオファイルのハンダゴテは、もう15年以上も使っていますが、まだコテ先の交換はしていません。
(職業柄、他人よりは使用頻度は高いはずです)
今のハンダゴテは、コテ先が長持ちするよう、コーティングやメッキ処理がされていますので、とても長持ちします。
もしすぐにダメになってしまうと感じるようでしたら、次の事を確認してみてください。
●ハンダ付けの際に「ゴリゴリ」していないか?
ハンダが思うように付かないからといって、コテ先を部品や基板にゴリゴリとこすりつける人がいますが
せっかくの「長持ち処理」がはがれて台無しになってしまいます。
●不必要に電源を入れていないか?
電源、イレッパにしていませんか?ハンダゴテの寿命や電気代以前に、火事の危険がありますよ!
●板金用のペーストなどを使っていないか?
電子工作用以外のハンダ付け助剤は電子工作用のコテ先を傷めてしまう原因となります。
間違っても板金用ペーストやステンレス用アルミ用のフラックスは使用しないでください。
(まさか・・・塩酸を使っている人はいませんよね?)


最後になりましたが、部品を基板にハンダ付けしたら、リード線の余分な部分はニッパで切り取りましょう。